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  • 高齢者の交通死亡事故 日没時に集中 国土交通省

    高齢者の交通死亡事故 日没時に集中 国土交通省

    国土交通省のまとめによると、2014年に65歳以上の歩行者が亡くなった事故の発生時間帯を調べ、日没時間を照らし合わせたところ、一年を通して事故は日没の時間帯に集中していたことが分かった。
    例えば、日没時間が午後5時台だった2014年9月の死者は午後4時台が3人、5時台10人、6時台13人、7時台5人、8時台3人、9時台2人だった。日没と重なる時間帯、5時台と直後の6時台が突出して多かった。
    国土交通省は2020年4月から、暗くなると車のヘッドライトが自動点灯する「オートライト」の搭載を義務付けるのも、こうした状況を踏まえたものだ。

「介護離職ゼロ」を考える
「介護離職ゼロ」を考える
仕事との両立は可能か!働き盛りの介護問題①

介護離職者年間10万人、離職予備軍40万人
5年に1回実施される経済産業省の「平成24年就業構造基本調査」によると、介護・看護のため離職した人は年間約10万人。また、仕事を辞めようと考えている人(17.9万人)や、転職を考えている人(23.9万人)が合わせて40万人以上にも上る。
もちろん、40万人超の仕事を辞めかけている人の主な理由が、介護とは限らないにしても、これらの人たちはまさしく介護離職の“予備軍”といって差し支えないだろう。

3人に1人が両立就業に不安
介護はほとんどの場合、ある日突然、直面する問題だ。そのとき自分が介護の主な担い手になった場合、うろたえることなく、従来の働き方をすぐに見直して両立を図ることは容易ではない。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが、厚生労働省の委託を受けて実施した調査報告書によると、実際に介護が必要な親がいる就業者のうち、約3人に1人が仕事の継続に不安を感じている。そして大きな問題は、こうした状況にあるにもかかわらず、企業の5割近くが介護を抱える従業員の実情を把握していないのが実態であることだ。


「介護離職ゼロ」を考える
仕事との両立は可能か!働き盛りの介護問題②

男性の4割は職場で介護を“隠して”いる
仕事と介護との両立に不安を感じながら、就業者、とくに男性社員の場合、職場で相談しないのも大きな特徴だ。
東京大学社会科学研究所が大企業を対象に行った調査報告書によると、男性の約4割、女性でも2割強の人が介護を抱えていることを隠していることが明らかになっている。
では、どうして相談しないのか?ここには様々な理由や背景がある。みずほ情報総研が厚生労働省の委託を受けて行った調査によると、まず自分が勤務する会社に「介護休業制度があることを知らなかったため」が32.6%、以下「有給休暇などを取得すれば対処できるため」18.0%、「収入が減ってしまうため」17.2%、「同僚に迷惑をかけるのではないかと思うため」15.7%などと続いている。
このほかに、実は就業者の将来を見据えた思いや、心理的な側面も大きく作用しているとみられる。端的に言えば、将来の昇進・昇格に影響するとの思いだ。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが厚生労働省の委託を受け、企業を対象に実施した従業員の両立支援に関する調査によると、「あまり影響しない」を含めた「影響しない」は50.9%で、「影響する」はわずか14.1%だった。


「介護離職ゼロ」を考える
仕事との両立は可能か!働き盛りの介護問題③

「将来の昇進・昇格の影響」など勘案し相談せず
前回みたとおり、介護休業を取得することによる「将来の昇進・昇格に影響」について、調査結果だけをみれば企業の半分は影響しないと回答しているが、この点は中堅・中小企業を含めた現場の認識は、かなり乖離があるのではないだろうか。
企業規模の大小を問わず、経営資源(ヒト・モノ・カネ)の効率的運用を迫られる昨今だけに、現実問題として介護を抱えた従業員を見越して余裕を持たせたシフトや、人員配置をしている企業が果たしてどれくらいあるのか疑問だ。

介護に対する理解はまだまだ低い パワハラも
となると、現場責任者(部・課長)は介護休業を取得する従業員には、自ずと厳しい姿勢にならざるを得ない背景もある。日本の場合、良くも悪くも業務至上主義とでも表現できる、仕事を何よりも優先する気風が支配的な企業が少なくない。
このため、介護に対する理解はまだまだ低く、パワーハラスメントを受けるケースさえある。多くの企業にみられる、そうした企業風土や職場の雰囲気を察知して、介護を抱えていることを隠すケースが圧倒的に多いのではないだろうか。


「介護離職ゼロ」を考える
仕事との両立は可能か!働き盛りの介護問題④

介護開始から1年で5割近くが両立断念し、離職
三菱総合研究所が主な介護の担い手に実施した「平成26年度 仕事と介護の両立に関する実態把握のための調査」によると、介護を始めてから9カ月までで4割弱、1年で5割近く、3年で80%超がそれぞれ、仕事との両立を断念、離職している。
介護にはあらかじめ定まったゴールがあるわけではない。生命保険センターの調査によると、介護を始めてからの期間(介護中の場合は経過期間)は平均で4年11カ月。10年以上というケースも全体の約16%を占めている。
これまで述べたとおり、企業が状況を把握せず、従業員が現場で介護を抱えていることを隠したままとなると、介護のスタート地点で仕事との両立が思うように図れず、悲しいことだが早晩、退職に至るという流れも理解できる。

2025年過ぎまで働き盛りを襲う要介護者の増加、両立問題
2015年7月末現在、要介護認定者は614万人に達し、10年前に比べて1.5倍に膨らんでいる。団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)の仲間入りする2025年過ぎまで、高齢化が加速するとみられるだけに、要介護者も急ピッチで増え続けるだろう。
それは働き盛りの年代にとって、介護と仕事との両立問題に直面する人たちがさらに増えるということでもある。


「介護離職ゼロ」を考える
仕事との両立は可能か!働き盛りの介護問題⑤

両立のために変えようとしても転職後の現実は厳しい
介護を抱える人が、仕事との両立のために様々な要素を勘案して、職場を変えるケースは少なくない。しかし、こうした人たちの転職後の現実は厳しい。
明治安田生活福祉研究所、ダイヤ高齢社会研究財団が正社員を対象に行った「仕事と介護の両立と介護離職」調査によると、正社員に転職できたのは男性で34.5%、女性では21.9%だ。男性で3人に1人、女性はわずか5人に1人にすぎない。

正社員の再就職に失敗、パート・アルバイト生活に
そこで、正社員の途と介護に対する理解のある会社を求めて転職を繰り返すことになり、それでも希望する途は見つからず、やがて正社員での再就職そのものを断念するに至る。
その結果、多くは複数のパート・アルバイトに就くケースが多く、男性ではその比率が28.4%、女性では56.8%にも達している。
介護にこれまでより経費がかかる中で、収入は大幅減となってしまうのだ。そのため、男性は追い詰められた形で、食べるために家業・企業(28.6%)するケースが増えている。


「介護離職ゼロ」を考える
仕事との両立は可能か! 働き盛りの介護問題⑥

介護に関わる前にぜひ自分の介護への認識度チェックを!
?漠然とした不安を抱いたまま、何もせずいざ介護の担い手になることは避けたいもの。介護離職した人の中には突然の事態に際しての初動が分からず、誰にも相談できずに「こうなったら仕事を辞めて自分がやるしかない」と思い詰めたケースがある。
?そんなリスクの高い形での介護のスタートをできる限り避けるために、自分がどれだけ介護に対して準備できているのか、あらかじめ認識しておきたい。
?チェック項目は①介護に活用できる会社の制度を知っている②介護保険制度の内容を知っている③公的制度以外の介護サービスを知っている④介護と仕事をどう両立できるかを考えている⑤介護専門職の人に相談したことがある⑥実際に介護をしている人からの話を聞いている⑦本やネットで介護の情報を収集している⑧親と将来的な介護について話し合っている⑨兄弟姉妹と介護について話している⑩介護が必要になったときに相談する先を知っている-などだ。
?これらの項目について「No」ならそれぞれ、もっと知識を深めたり、できる限り行動に移して認識を深めることだ。 それこそが、いざ介護の担い手になったとき何よりの貴重な備えになるはずだ。


「介護離職ゼロ」を考える
仕事との両立は可能か!働き盛りの介護問題⑦

介護の準備はまず地域包括センターに相談
前回、介護に関する自身の理解度・関心度合いをチェックしてもらったが、ここでは介護に入る前の具体的な準備・手続きや求められる行動についてみてみたい。
介護問題に直面して困ったら、まず相談すべきなのが最寄りの「地域包括支援センター」だ。通常、中学校の校区にあたる日常生活圏域(人口2万~3万人)に一つ設置されている。全国で約4600カ所あり、地域の高齢者の介護予防の中核拠点となっている。
「包括支援」の名の通り、熟年者の権利保護に関する相談を受ける社会福祉士や、介護予防の指導を行う保健士など複数の専門員がいる。いわば”何でも相談所”だ。高齢者を対象にした介護予防教室、家族介護者に向けた講座も運営されている。地域によっては「熟年相談室」や「おとしより相談センター」と呼んでいる場合もあるが、誰でも無料で相談に行ける。訪れてみる価値はある。

要介護認定申請→聞き取り調査→認定結果は30日後
実際に介護が必要になったら、市区町村の窓口や地域包括支援センターなどで、介護保険のサービスを利用するために、要介護認定の申請をする。これを行うと、市区町村の職員が自宅に訪問し、高齢者本人の体の状態や介護の手間など79項目の聞き取り調査(認定調査)が行われる。
調査結果を主治医の意見書を基にコンピュータによる1次判定、介護認定審議会による2次判定を経て、原則として30日以内に認定結果が郵送で通知される。この時に介護保険被保険者証が一緒に届く。


「介護離職ゼロ」を考える
仕事との両立は可能か!働き盛りの介護問題⑧

ケアマネジャーとのコミュニケーションを重視
要介護の認定を受けたら、具体的な介護プラン(ケアプラン)の作成に向けて、介護支援専門員であるケアマネジャーとのやり取りをすることになる。要介護認定の結果通知書には居宅介護事業所の一覧が同封されている。
普通は一覧表をみても、どこの事業所に属するケアマネジャーを選べばいいのか分からない。そうした場合、地域包括支援センターに相談するといい。同センターはあくまで公正中立な立場のため事業所の具体的な評価はしてくれないが、併設するサービスの種類など、それぞれの特徴は教えてくれる。
仕事との両立を図り、家族の意向をきちんと理解してケアプランを作ってもらうためにも、ケアマネジャーの役割は重い。それだけに十分にケアマネジャーとコミュニケーションを取って相互に信頼関係を築く必要がある。ただ、いくら話し合っても考えが合わない場合には、ケアマネジャーを変更できることも知っておきたい。


「介護離職ゼロ」を考える
仕事との両立は可能か! 働き盛りの介護問題⑨

安倍晋三首相は2015年9月の会見で「介護離職ゼロを目指して、介護施設の整備や介護人材の育成を進め、在宅介護の負担を軽減する」と語った。これは継続的かつ安定的な経済成長を促すためには不可欠な30~50代の働き盛りの年代が、介護に直面し離職が相次ぐ事態が拡大すれば企業活動、ひいては経済成長全体に大きな影響を及ぼすとの判断からだ。そして、2020年代初頭までに在宅、施設サービスを50万人分増やす方針を打ち出している。
しかし、単純にサービスや施設を増やせば済むという問題ではない。要介護者がサービスや施設の利用を拒んだり、介護に担い手が親族の協力を思うように得られなかったりと、やむにやまれぬ事情で一人で介護を抱え、破綻寸前まで追い詰められるケースもある。そうした介護の現実にも目を向けなければ「介護離職ゼロ」目標は画餅に帰すだろう。

高齢者ケアを考える
高齢者ケアを考える
シリーズⅠ.「介護の前に」①高齢者の自立支援

介護職を目指す方はもちろんのこと、そうでない方々にも、一般社会人として理解しておいてもらいたい常識について、改めて「人間の尊厳と自立」という面から述べたいと思います。

高齢者の自立・尊厳を守るために

①高齢者の自立支援
人間は生物である以上、老いる存在です。したがって、生きることは老いることであり、同時に老いることは生きることなのです。このため、人生の最後をどう過ごすかは、人間にとって最も大切なことなのです。
人間は意思を持った存在であり、その思いや望みを実現するために、様々な行為を積み重ねて人生を送ります。生きることは自分の望みを実現していくことでもあります。したがって、年老いてからも自分の意思で生活を決定し、自分が望むような生活を送ることは、だれにとっても重要なことです。
しかし高齢になると、足腰が弱って自由に活動できなくなったり、自分一人では十分な判断ができなくなったりするため、自分の望むような生活を送ることが困難になります。その結果、高齢者の自立が損なわれ、ひいては人間としての尊厳が脅かされることにもなりかねません。
このように高齢期になると、心身の機能が低下するため、高齢者が自立した生活を送るためには、個人の努力だけでは限界があり、高齢者が望むような生活を送れるようにするための社会的な支援が必要となります。この自立支援のための社会制度として、介護保険制度や成年後見制度などがあるのです。

資料出所;一般社団法人 長寿社会開発センター「人間と社会・介護」より(以下、シリーズ使用分は同資料)
高齢者ケアを考える
シリーズⅠ.「介護の前に」②自立(自律)の意味
他からの支配を受けない「自立」と「自律」

②自立(自律)の意味
「自立」とは「他からの支配を受けずに存在すること」を意味し、「自律」とは「他からの支配を受けずに自分自身の規範に従って行動すること」を意味します。つまり、「自立」はその人の存在自体に着目するのに対し、「自律」はその心理的・精神的側面に焦点を当てたものということができます。
両者に共通するのは「他からの支配を受けない」ということです。他からの支配を受けることなく、個人がその考えに従って自らの生き方や生活のあり方を決定することが自律であり、それを実践することが自立なのです。
自立には、人格的自立だけでなく、経済的自立、社会生活における自立、日常生活における自立などがあります。そして、「自立」という考え方の基本には、個人を尊重する考え方があります。日ごろ、私たちは何気なく「自立」という言葉を使っていますが、実は想像以上に深い意味を持っているのです。
社会における価値の根源は個人にあると考え、何よりも個人を尊重する考え方を基本として、これを他者との関係に着目して表現したのが「自立」であるといえます。つまり、自立を基本とするということは、個人の尊厳を基本とするということなのです。
しかし、ひと口に個人といっても、健康な人、病気や障害のある人、子供、若者、高齢者、男性、女性など多様です。したがって、個人を尊重するということは、これら多様な人々の存在を尊重するということを意味します。

高齢者ケアを考える
シリーズⅠ.「介護の前に」③自立と共生
他者と相互に歩み寄り譲り合い、協働する

③自立と共生
自立が、個人として尊重することを基本とするといっても、それは個人が社会から孤立して生きることを意味するのではありません。人間が他者から孤立して一人で生きることは不可能であり、人間は社会の中で、他者とともに生きていく社会的存在なのです。したがって、自立といってもそれは他者との共生の中での自立を意味します。
前回述べたように、自立が自らの考えに従って生き方や生活のあり方を決定し、実践することだとしても、自分一人で勝手に生きることを意味するのではありません。社会の中で他の人々と協働しながら、自分の考え方を主張し、実践することなのです。
その過程では、他人の意見や考えを聞き、理解することが必要になりますし、それが自分の考えや利害と衝突する場合には、お互いが歩み寄り、譲り合うことが必要となります。それは、他者に支配されることではなく、社会の中で他者と共生していくために必要なことなのです。
また、個人が多様な存在である以上、他の人々と協働するとは、心身の状況や年齢、性別などが異なる多様な人々と協働し、共生していくことを意味します。したがって、要介護高齢者のように身体の機能が低下し、自分の力だけでは自立した日常生活が送れない人がいる場合には、社会が必要な援助を行い、日常生活の自立を支援することが必要になります。
これによって、その高齢者は人格的自立を獲得し、自らの望みを実現しながら生きることができるようになるのです。この場合には、日常生活の自立を支援することが人格的自立につながり、高齢者の尊厳を保持することになるのです。

高齢者ケアを考える
シリーズⅠ.「介護の前に」④自立支援の多様性
求められる高齢者・家族個々の事情に合わせた自立支援

④自立支援の多様性
自立が基本といっても、高齢者の場合、高齢者が家族に依存しないで一人で生きることを意味するものではありません。高齢者が家族と一緒に暮らすことを望み、家族もそれを望んでいる場合には、家族と同居して暮らすことがお互いにとって望ましい選択になります。
しかし、高齢者が同居を望んでも、家族の事情がそれを許さなかったり、家族がそれを望まなかったりするなど、世の中には様々な事情を抱えた家族が存在します。また、子供の世話にはなりたくないといって、子供との同居を望まない高齢者もいます。
ひと口に高齢者といっても、実際の高齢者は様々な事情を抱え、様々な考え方を持っています。高齢者の自立といっても、その前提となる高齢者像は多様であり、したがって自立のあり方も多様なものとなります。
このことを理解したうえで、できる限り一人ひとりの高齢者が、その生活のあり方を自ら決定できるように支援することが「自立支援」なのです。
心身の機能が低下している場合には、介護による支援が不可欠となりますが、高齢者にとってどのような介護が適切かは、要介護の状態、医療との連携の必要性の程度、家族との同居の有無、家族による介護の可能性やその程度、地域包括支援センターやボランティアなど地域のフォーマル・インフォーマルな支援の有無・程度などによって異なります。
さらに、自立支援は介護に限られません。経済的な問題、住まいや仕事の問題、地域社会との関わり方など、高齢者の生活全般に関係してくるものであり、高齢者の自立支援は、社会全体で取り組まなければならない課題なのです。
これらの様々な支援によって、高齢者が社会の一員としての役割の実感を持つことができれば、トータルな意味での自立支援を実現することになるのです。

高齢者ケアを考える
シリーズⅡ.介護予防①要介護状態の原因疾患
1位は脳血管疾患、2位は認知症、3位は衰弱

①要介護状態の原因疾患
始めに、介護が必要になる、つまり要介護状態になる原因をみてみましょう。2010(平成22)年の国民生活基礎調査によると、1位は脳血管疾患、2位は認知症、3位は高齢による衰弱、4位は関節疾患、5位は骨折・転倒、6位は心疾患となっています。
この原因には男女差もあります。男性は脳血管疾患が原因である割合が高いのに対して、女性では脳血管疾患、衰弱、認知症などがほぼ同じ割合です。この結果、要介護状態になるのは、衰弱や転倒・骨折、認知症、関節疾患なども多く含まれていることが分かります。
これらの疾患をきっかけに、家に閉じこもってしまう「閉じこもり」になってしまう高齢者も多くいます。加齢などにより、身体的機能の低下などから事故を起こしやすく、病気にかかりやすくなっています。疾患→閉じ籠り→心身機能の低下、という負の連鎖により、要介護状態が重度化してしまうことがあります。

資料出所;一般財団法人 長寿社会開発センター「人間と社会・介護1」より(以下、同)

高齢者ケアを考える
シリーズⅡ.介護予防②介護予防とは
老化による衰えをできるだけ遅らせ、自分らしい生活を送る

②介護予防とは
A.要介護の状態になることの予防
「介護予防」とは、ひと言でいえば要介護状態等になるのを予防することです。重要なことは、老化そのものによる身体的・精神的・社会的機能衰えをできるだけ遅らせるということです。
つまり、単に疾病にかからない、生活習慣病を予防するというだけでなく、もっと積極的に自分の生活をデザインし、高齢になっても心身の機能や、社会での活動性をできるだけ維持し、精神的に充足感のある、自分らしい生活を送ることができるようにすることが大切になってくるのです。これが介護予防の考え方です。

B.要介護状態重度化の予防
高齢化の進行により、あるいは疾病により、たとえ一部の生活機能の低下をきたしているとしても、基本的な考え方は変わりません。残存能力の活用を図る工夫をすることにより、要介護状態の重度化防止、すなわち悪化することをできるだけ予防することも「介護予防」といいます。


高齢者ケアを考える
シリーズⅡ.介護予防③介護予防活動の目標
自分らしい精神的に充実感ある生活を送ることを目標に

③介護予防活動の目標
この目標には3段階程度が考えられます。まず、小目標では要介護状態を未然に防いだり、悪化を予防するために必要な知識・技術を習得することです。これによって、転倒、閉じこもりを防止、気道感染防止、認知症の予防対策となります。
中目標では、自分が価値を置く生活を営むために必要な健康に関する機能の維持・向上です。これによって、身体機能、精神機能、社会的機能の維持・向上が図れます。
そして、大目標では一人ひとりの生活の質(QOL)の向上です。これは自分らしさを保てる生活であったり、精神的に充実感が感じられる生活を送ることです。

私たちは日常の生活を送っていくうえで、「あたりまえ」に行っている様々な事柄があります。食事を摂る、排泄をする、入浴をする、夜眠るなどといったことです。それらは基本的に自分の意思によって、自ら行おうとするものです。
介護では、何らかの障害や疾病などで、このような行為がスムーズにいかない人たちに対して、その人たちの思いに沿い、できるだけ自分の力でできることをしてもらいながら、できない部分への支援をしていくことが重要なポイントになります。
介護職の業務は、本人の主体的な気持ちや意思を、全面的に肩代わりすることではありません。本人の「自分でしよう」「自分の力でやりたい」という気持ちを受け止め、その生活を支援していくことです。つまり、介護は本人が望む主体的な生活を支援していく業務にほかなりません。

在宅ケアの心得

家で人生の最期-在宅ケアの心得
「病院ではなく、家族が暮らす家や住み慣れた場所で、人生の最期を迎えたい」――そう願う人が多いにもかかわらず、実際は病院で亡くなる人がまだ圧倒的に多いようです。家で医療や介護などのケアを受けながら、最期まで暮らすために必要なことは何でしょうか。
ポイント1 本人・家族の意思
本当に家で過ごすことを望むかどうか
在宅ケアの専門家に聞くと、最も大切なのは本人や世話をする家族が家で過ごすことを望むかどうかです。家族と十分に話し合い、とりわけ主な世話を担うことになりがちな共働きの主婦が、家事と仕事に介護が加わっても、ストレスをため込むことなく、頑張りすぎずに、例えば親の場合、恩返しのつもりで温かく接してあげられるかどうかです。
ポイント2 チームの支え
訪問介護・診療・看護などで連携
在宅ケアはヘルパーによる訪問介護、医師による訪問診療、看護師による訪問看護など多種な専門職がチームを組んで支えることで成り立ちます。チーム作りにあたっては胃ろう(おなかの皮膚から胃に管を通して栄養を取る)、たんの吸引など医療処置が必要な人や、がん・難病患者などの場合、かかりつけ医や訪問診療を実施する医療機関、訪問看護ステーションなどに相談してみるのがいいようです。通常の介護計画をつくるだけなら介護事業所などにいるケアマネジャーなどに相談すればいいのですが、医療についての知識が乏しい場合もあるからです。
ポイント3 医師の見立てと理解
容態急変にも十分な心構えを
専門家によると、事前に医師から「もう長くはない」との見立てを伝えられ、今後予想される状態の変化の説明を受けていても、在宅では状態の急変に驚いて、家族が救急車を呼んでしまい、望まなかった延命治療を受ける事態になることもあるといいます。あらかじめ十分な説明と理解があれば、緊急時には主治医や看護師に連絡すれば、そうした事態は避けられそうです。
ポイント4 費 用
一般的に月10万円以内
訪問介護や訪問看護などには介護保険が適用されます。最重度の「要介護5」なら最高で月約36万円分が利用でき、利用者負担は使った分の1割です。訪問診療は公的医療保険が利用でき、こちらも患者が70歳以上なら利用者負担は1割です。ほかに薬代や胃ろうの栄養剤などの費用が必要です。
介護保険を利用できるのは原則65歳以上ですが、がんの末期患者などは40歳以上も利用できます。公的医療保険や介護保険には利用者負担に上限もあります。一般的に医療費や介護費だけなら月10万円を超えることはあまりなく、状況によってはもっと安く済みそうです。