トップに聞く① 株式会社 川商


 はじめに

 介護サービス利用者は2012年度で452万人ですが、2025年度には657万人に達する見込みです。この結果、高齢者市場は2025年には100兆円、うち医療・医薬、介護で50兆円規模が見込まれています。
 こうした市場予測や見込みを具現化する大きなポイントの一つは、これを担う人の問題です。介護でいえばいまこそ、外国人の積極的な活用を含めた介護人材の育成・確保が求められているのではないでしょうか。
 そこで、今回からシリーズで介護事業を主幹事業とする企業トップに、業界の抱える問題点や課題への対応策、こだわりの運営コンセプトや人材育成、確保に向けた諸施策などをお聞きし、紹介します。

indexシリーズ「トップに聞く」①

株式会社 川商 取締役会長 川畑俊彦
報恩感謝の精神で高齢者に安心の住環境を提供
 ―まず貴社の運営理念・コンセプトからお聞かせいただけますか?
川畑企業理念として①報恩感謝②「高齢者の幸せ第一」の信念に徹し、社業を通じて社会に貢献する③誠実を旨とし、和を重んじて社業に徹します―の3点を掲げています。
 今の自分があるのはこれまでお世話になった方々のお陰です。この「報恩感謝」の心は幼少期から育んできた私自身の生活信条で、商社勤務時代、経営コンサルタント時代、そして川商の創業以来、全く変わることはありません。

 ―もう少し具体的にお聞かせください。
川畑これは②と深くかかわってきますが、高齢者住宅を運営する企業は通常、身寄りのない人は入居させないケースが圧倒的に多いんです。将来もし亡くなられたら、遺体の引き受け手がないと困るからです。しかし、当社は報恩感謝をモットーにしていますから、子供あるいは孫の立場で身元引受人になり、費用を負担し戒名をもらい、告別式もやらせてもらっています。
 ―入居者に対する配慮あるいは、何かこだわっておられるような点はありますか?
川畑これは当社が運営する施設に共通していることですが、経済的に恵まれない方や、生活保護を受けている方でも入居できるよう月々の入居費用はほとんどの施設で11万円台に抑えています。居室の広さは約18平方㍍で、全室に冷暖房、家具、テレビ、リネン類が備え付けになっており、食事も1日3食準備しています。
 経済的に恵まれないという理由で差別をしてはいけません。生命は収入に関係なく誰も平等です。戦後日本の礎を築いてきてくださった方々に、感謝の気持ちを込めてお世話をさせていただいています。この点は施設に勤める職員にも徹底しています。
 ―人材は人財、会社の資産そのものといっておられるようですが。
川畑そうですね。私が報恩感謝をモットーに接する高齢者の方々のお世話をするのはハートランドの職員です。職員のみんなが入居高齢者の方々に、お父さんやお母さんに接するように笑顔で接すれば、気持ちよく毎日を過ごしてもらえるでしょう。
 人材は人財です。人財は会社の資産そのものです。高齢者福祉を巡る環境は今後ますます厳しい状況が予想されますが、施設を運営する立場として職員には福利厚生で報いるなど処遇改善のための経営努力を怠らず、どんな逆境にも川商グループ全体のマンパワーを結集して乗り切っていきたい。
 川商を創業したのは自分でも、これは私個人のものではありません。経営コンサルタント時代の経験などから、様々な企業をみてきましたが、強烈なリーダーシップを持って運営してこられた企業人の中には、公私混同されておられるような方も少なからず見受けられますね。
 ―介護人材の育成・確保という面で、将来に向け打っておられる方策はありますか。
川畑商社勤務時代、経営コンサルタント時代に培った人と人のつながりから、東南アジア諸国連合(ASEAN)域内からの外国人材の導入を考え、数年前から手を打ってきました。ミャンマー、ベトナム、カンボジア、インドネシア、フィリピン、タイ、ラオスなどで、日本で予備校を運営している経営者の方々と協働し、現地政府の協力も得て公益法人を設立。設置した日本語学校で日本語を習得してもらうことと、介護ヘルパーの基礎を教えてもらうところまで、政府挙げて取り組んでもらうような方向で進めています。
 ―それは、経済連携協定(EPA)で進められているものとは違うのですか。
川畑違います。EPAで看護師と介護福祉士の候補者受け入れはインドネシア、フィリピン、ベトナムを合わせても、求められている介護人材の数からいえば少なすぎます。ですから、官・民両面から人材育成・確保に動かなければと考えています。
 ―先ほどお聞きした7カ国ですすめられている人材教育は、どの程度まで進んでいるのですか?
川畑まだ助走段階に入ったところですが、民間でもできることを進めていかないと、今後、高齢化が加速していくだけに、介護人材の慢性的な不足は全く解消されないと思います。数年後に期待しています。
株式会社 川商:会社概要
所在地 〒540-0024 大阪市中央区南新町1-2-4 椿本ビル8階 TEL06-6937-2711
http://kawasho-hl.jp
社 長 川畑佳子
従業員数 608人
ハートランドグループ
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