トップに聞く②グループホームあみ 代表 田北ますみ氏


 はじめに

 介護サービス利用者は2012年度で452万人ですが、2025年度には657万人に達する見込みです。この結果、高齢者市場は2025年には100兆円、うち医療・医薬、介護で50兆円規模が見込まれています。
こうした市場予測や見込みを具現化する大きなポイントの一つは、これを担う人の問題です。介護でいえばいまこそ、外国人の積極的な活用を含めた介護人材の育成・確保が求められているのではないでしょうか。
そこで、今回からシリーズで介護事業を主幹事業とする企業トップに、業界の抱える問題点や課題への対応策、こだわりの運営コンセプトや人材育成、確保に向けた諸施策などをお聞きし、紹介します。

シリーズ「トップに聞く」②

グループホームあみ 代表 田北ますみ
利用者・家族・介護者3者がそれぞれ幸せ感を享受できる施設
 ―施設運営にあたり、中心に据えておられる考え方からお聞かせください。
田北「生活の場」としてのこの施設で、利用者(入所者)、その家族、そしてこの施設で働く介護職員・スタッフの3者が、分け隔てなくつながり、みんなが幸せになるということですね。このことを“あみハッピー”という言葉で表現しています。

 ―“あみハッピー”のあみの意味・由来は?
田北フランス語の「ami(e)」の「友人」、スペイン語の「amigo(アミーゴ)」の「友達」を意味するアミです。入所者はそれぞれ様々な事情を抱えておられますが、縁あってこの施設に集う、みんなが分け隔てなく、つながり幸せになる、の意を込めています。そうした状況を“あみハッピー”“あみ幸せ”と表現、これこそがこの施設のモットーです。

 ―そうした考え方はいつごろから意識されたのですか。
田北「みんなが幸せになる社会」を目指してボランティア活動していたころから意識しており、平成16年3月オープンの時より、それを願って「あみ」とネーミングしています。

 ―この地で社会福祉事業に携わられるようになった経緯は?
田北この施設の近くに奈良時代、悲田院・施薬院をつくり社会福祉事業に尽力した光明皇后(701~760年)ゆかりの法華寺があるのです。55歳の時に介護福祉士などの資格を取得し、かねてからの思いを形にしました。

 ―この施設の特徴は?
田北最近では、グループホームでも看取りケアを望む家族が増えまして 昨年(2015年)も5人ほど看取り、お見送りさせていただきました。人間いつかは死を迎えます。利用者に寄り添い、その人にきちんと向き合い、本人の望む最期をかなえることが介護職の仕事です。
 予め終末期の対応を本人や家族の希望を確認しています。希望に添えるように配慮します。また家族が望まれるならば共有の時間をもてるように泊まっていただき、一緒に看取ることもあります。

 ―この施設の運営コンセプトについてお聞かせください。
田北ここは“生活の場”という捉え方です。利用者一人ひとりが尊厳を持って楽しく暮らせるように、個別ケアに重視しています。できることは利用者ご自身でやっていただくようにしています。認知症の方ばかりですので、バリデーション療法という「認知症の人をそのまま受け入れる」ということを心がけています。
 こうした施設の在り方を体験されたご家族の口コミで、空きベッドが埋まることも少なくありません。ありがたいことです。

 ―利用者の方に対して、何か実施しておられることはありますか。
田北3年ほど前から、脳・身体・心を鍛えて認知症やうつ病、脳卒中も改善するといわれる「心身機能活性運動療法」を取り入れています。体操や温熱療法などで症状が改善した例も出ていています。

 ―介護職員・スタッフの育成について留意されていることは?
田北年間プログラムに基づき、毎月1回研修を実施しています。「自分さえ」「今さえ」よければいいではなく、「みんなのこと」「未来のこと」を考えることが「あみハッピー」につながるということを伝えています。職員には利用者を自分の親として捉え、または自分の身に置き換えてみる、そしてその人の尊厳を守り寄り添い、相手の立場で理解しようとする姿勢が求められます。
 高い理想ばかり掲げるのではなく、いま介護の現場にいて業務に携わっているのですから、介護職員・スタッフには人と比較してできないことを嘆くより、いま自分ができることをきちんとやっていくことが大事だと指示しています。

 ―ほかに、この施設ならではことがありましたら、お聞かせください。
田北3年前に私が喫茶「あみかふぇ」を出店しました。ですから、ここでは管理栄養士が作った献立に基づいて、こだわりの材料でお食事を提供しています。その分利用者と関わりを深めることが出来るようになりました。

 ―この施設の、何かこだわっておられることについてお聞かせください。
田北まず環境問題を重視しています。太陽光発電、雨水利用、コージェネレーションなど再生可能エネルギーの採用、省エネを念頭に次世代を考えてエネルギーを大切に、環境に優しいエコロジーハウスにしています。また、合成洗剤を使用せず、石けんを使っています。

認知症対応型共同生活介護保険施設 グループホームあみ:施設概要
所在地 奈良市二条町2-3-18  ホームページ:http://gh-ami.jp
構 造 鉄骨地上4階建て
定 員 3ユニット(27名)
居 室 個室11.4平方㍍
グループ・
連携
・あんしんごはんデリカフェ「あみかふぇ」
・医療法人 田北クリニック