介護現場から・シリーズ「施設長に聞く」①社会福祉法人いずみ会 特別養護老人ホーム おおみの 施設長 佐々木晴美氏


 はじめに

 世界でも類を見ない速さで進行する高齢社会日本。これとともに避けて通れないのが要介護者の急増。それだけに今後、様々な施策が講じられることを前提にしても、2025年ごろまでは少なくとも諸施策が追い付かず、慢性的な人手不足が解消されることはないとも指摘されています。
 とはいえ、要介護者にとっては日々生活するうえで、介護の手なしには成り立ちません。そして、ちょっとした手抜かりが大怪我につながりかねない、介護の現場では気が抜けない日々が続きます。
 そこで今回から、介護施設の施設長に施設運営にあたっての“こだわり”や、入所者に対する配慮、スタッフに求める姿勢、そして入所者の施設における暮らしぶりなどを取材、「介護最前線」の生の声をお届けします。

介護現場から・シリーズ「施設長に聞く」①

社会福祉法人いずみ会 特別養護老人ホーム おおみの 施設長 佐々木晴美
愛する家族と同様の気持ちで入居者に寄り添う
 ―施設運営の基本的な考え方からお聞かせください。

佐々木最初、この施設は病院での治療やリハビリ期間を過ぎた人たちの受け入れ施設としてつくられました。しかし、決して病院の延長ではなく、諸事情にて家で暮らせなくなった方々の介護施設としてオープンしました。介護する側も介護される側も同じ目線で会話し、相互に笑顔で、家族と同様の気持ちや姿勢で接するということが基本です。
 私はスタート時からこの施設に携わり16年間、何より「私自身が入りたい施設」を目指して運営にあたってきましたが、この基本は全く変わりません。

 ―入居者に対し配慮される点として、とくに意識されていることはありますか。

佐々木入居者はそれぞれ現役時代、仕事をされ活躍されていた、輝かしい経験をお持ちです。また、戦争とか苦い経験をされた方もおられます。そうした人生の先輩に、尊敬や尊厳をもって接するということです。
 また、ケアする前に人を愛することです。少し時間がかかっても、入居者の方ができることを無理に手伝わず、見守り、声掛けをすることです。

 ―入居者との信頼関係をつくるために求められることは?

佐々木入居された方は、当初は誰ひとり見知った人がいない環境に置かれ、どなたも孤独で不安な気持ちでいっぱいです。ですから、この不安感を取り除き、かつての自信に満ちた顔をいっぱい引き出してあげることが大事です。
先ほど申し上げましたように、尊敬や尊厳の気持ちで接し、そんな不安な精神状態の入居者の方々の心を読み取り、痛みや悲しみに寄り添うケアを心掛けることが求められます。それを繰り返す中で、自ずと相互に信頼関係が生まれます。

 ―一部触れていただいたかと思いますが、施設スタッフに求めることは?

佐々木マナーを大切に、感謝の気持ちを忘れず、笑顔で接すること、介護する側、介護される側の区別をつけず同じ目線で会話すること、入居者を「家族」と思って接すること、入居者家族の方々と「コミュニケーション」と「報告」を重ねる中で、情報共有し信頼関係をつくることです。
 愚痴や悪口は言わない。私は「言いたいときは鏡の前で言いなさい」と言っています。鏡の前なら、自分に返ってきますから、その時の自分の表情や姿がどれだけ醜いか、分かると思います。

 ―入居者の心情を察するあまり、どうにかしてあげたいけど、少し無理な注文を出されたときはどのように対処すればいいのでしょう?

佐々木決して無理をせず、できないことはできませんということです。無理をしすぎない、背伸びをしすぎないことです。その代わり、やれる内容の代案を提案することです。
 無理したり、行き詰まったりしてストレスをため込まないことが大事です。ストレスをためないことで、気持ちにゆとりが生まれます。

 ―施設運営上、とくに意識されていることは?

佐々木人にはそれぞれ役割がありますが、上下関係はありません。そして、この「おおみの」の敷地に入る人は、ご利用者様、ご家族様、スタッフ、ボランティアさん、業者、近隣の方々などすべて家族だと考えています。
 地域の方に対し、道を通らせていただいているという気持ちで、笑顔であいさつし、コミュニケーションし、感謝の気持ちを表すようにしています。
 このほか、施設内に井戸端会議ができる場所として喫茶ボランティアによる「茶処」を設けています。
月曜日から土曜日の12~15時営業しており、デイサービス利用者、入居者、ご家族様はもちろん、周辺住民の方を含め来所される方も気軽にご利用いただきたいと思っています。

 ―施設内の様子を、まずクラブ活動からお聞かせください。

佐々木ホーム・デイサービスに共通で生け花クラブ、音楽クラブ、ドッグセラピー、お茶会があります。このほかにホームでは歌体操、歌クラブ、デイサービスでは編み物クラブ、書道クラブ、囲碁クラブ、絵画教室、アロマテラピー、カラオケ、足湯(水素風呂)、マッサージなどがあります。

 ―イベントについてはいかがですか。

佐々木季節に合わせ月1回は必ず組んでいます。1月新年会・初詣、2月節分、3月ひなまつり、4月桜の花見、外出、5月端午の節句、6月運動会、7月七夕、8月納涼祭・地域祭りへの外出、9月敬老会・運動会・だんじり訪問、10月文化祭・ハロウィン、11月みかん狩り、外出、12月クリスマス会・餅つきですね。運動会・敬老会など外出行事の半分は家族同伴です。

 ―その他、不定期で行われる行事はありますか。

佐々木お誕生日会、移動図書館・紙芝居、ハンドベル、太極拳、オカリナ、各種演芸会、二胡演奏、消防隊演奏会、帝塚山ミュージカルクラブ、外出レクとしてあべのハルカス・動物園・リス公園、園児・小学生来訪・交流、スタッフによるライブ演奏会、各フロアでの食事(おやつ)レクリエーションなどがあります。

特別養護老人ホーム おおみの:施設概要
所在地 〒599-8125 大阪府堺市東区西野42番地
ホームページ: http://izumikaioomino.sakura.ne.jp/
電 話 TEL072-230-0700 FAX072-230-0800
直通:ケアプランセンター072-230-0718
ヘルパーステーション072-230-0717
業務・
事業内容
・特別養護老人ホーム(定員74名)
・短期入所生活介護(ショートステイ)定員12名
・デイサービスセンター
・ホームヘルパーステーション
・居宅介護支援事業(ケアプランセンター)
・在宅介護支援センター
・おおみの診療所