トップに聞く④ 株式会社 ありがとう 代表取締役 北川範親氏


 はじめに

 介護サービス利用者は2012年度で452万人ですが、2025年度には657万人に達する見込みです。この結果、高齢者市場は2025年には100兆円、うち医療・医薬、介護で50兆円規模が見込まれています。
こうした市場予測や見込みを具現化する大きなポイントの一つは、これを担う人の問題です。介護でいえばいまこそ、外国人の積極的な活用を含めた介護人材の育成・確保が求められているのではないでしょうか。
そこで、今回からシリーズで介護事業を主幹事業とする企業トップに、業界の抱える問題点や課題への対応策、こだわりの運営コンセプトや人材育成、確保に向けた諸施策などをお聞きし、紹介します。
シリーズ「トップに聞く」④

株式会社 ありがとう 代表取締役 北川範親

すべてにつながる、「ありがとう」を引き出すことが基本
 ―会社運営にあたり、中心に据えておられることから、お聞かせください。
北川会社の運営方針といえば、一般社員まではなかなか浸透しにくいものですね。そこで、当社は単純で分かりやすいことを基本に、ただひたすらに相手から「ありがとう」の言葉や思いを引き出すこと-を社是としています。
これが「フォーユー守口」の施設のご利用者家族、ご家族、スタッフ同士、地域の方々、施設の関連業者、出入り業者含めたすべてにつながっていきますから。
 ―日々の業務を推進する際、とくに意識されていることは?
北川社訓として掲げていることが3点あります。まず一番目は、「クレームは最大のチャンス」です。クレームには当然、様々なもの・ことなどが出てきます。しかし、よくありがちな理不尽なことにも感情的にならず、心をもって対応していくことが大切です。それによって、これまでより良い関係づくりや業務改善につながります。
二番目は「日本一の“おもてなし”を目指す」です。一方的に、あるいは独善的に当施設はおもてなし日本一です-と宣言することではなく、おもてなしNo.1を目指しているという姿勢こそが大事だと考えています。
三番目は「人を責めない徹底した議論」です。それにより問題・課題を共有し、失敗や不具合をチーム全員で乗り越えていく。この3点です。
 ―そうした社是を社員・スタッフの方々はどのように受け止められているのでしょうか。
北川ホームオープン時の昨年4月から今年の3月まで、様々な機会に、あるいは個別に繰り返し話してきましたから、この1年間でかなり理解され浸透してきたと思います。
また、スタッフは様々な場面で苦労し、反省点も克服し、チームとして成長しキャリアアップできたと思います。私自身が務めてきた「フォーユー守口」の施設長を2月末に退いたのも、メンバーの意識やスキルがアップしたと判断したからです。
ただ、もちろん完成形ではありません。例えば入居者に対する声掛け・接し方で、言葉尻や言い方ひとつも、入居者のその時々の状態で印象はかなり変わりますから、スタッフにはそれに合わせ100点満点を目指してくれ-と言っています。
 ―介護人材確保の際、とくに意識されていることはありますか。
北川キャリアや資格の有無ではなく、協調性があるかどうかを重視しています。課題や問題などに直面した際、その意識を共有して一緒に取り組む、面倒臭さを感じさせない人をポイントにしています。
当社は、採用が決まればキャリアや資格の有無にかかわらず、一律に1カ月間のレクチャー期間を設けています。当社・当施設なりのルールや約束事がありますから、キャリアや資格がその間は全くアドバンテージにはなりません。
将来、当社を担っていくであろう若い人たちとの面談では、とくにそういう面を重視しています。現在、フロアディレクターやフロアリーダーなど20代の若いスタッフがいますが、こうした“伸びしろ”がいっぱいある若いスタッフには、とくに期待しています。
当社の場合、若い=未熟で使えないというのではなく、極論ですが、初任者研修を修了した人なら、介護職のキャリアや資格は二の次です。今後も若い世代のスタッフにキャリアアップできる環境を用意していきたいですね。
 ―貴社従業員・スタッフは若い方が多いのですか?
北川いいえ、そうでもありません。現在35名、管理を含めると40名近くのスタッフがいますが、30代が少なく、40代以上が全体の約7割を占めています。ただ、在籍スタッフの「人」には恵まれています。
一般に高齢となると、指示だけ出して職責を果たしているような方もいるのでしょうが、当社の場合は違いますね。最高齢で70代の人がいるのですが、この方は高齢になると敬遠しがちな業務にも、率先して精力的にこなしてくれ、いい手本になってくれています。
恵まれているといえば、関連業者や施設への出入り業者の方ともいい関係が築けて、ここでも恵まれていますね。例えば、入居されている方々の事情に合わせ、その時々に様々な物品や実用品の相談をするのですが、親身になって対応してくれますね。
 ―今後の貴社、㈱ありがとうのビジョンについてお聞かせください。
北川「フォーユー守口」は高齢者を対象としたホームですが、住宅型=「すまい」に今後もとことんこだわりたいですね。
社会的弱者、例えば精神疾患をはじめとする知的障害者や肢体不自由の方々を対象とする、支援事業の一環ですね。こうした方々の療養病院と施設の中間的なポジションの、いわば生きがい支援型のホームです。そんな住宅型の施設を視野に入れ、ニーズがあれば対応できるような会社に成長したいと考えています。
その際は、地域にかわいがられる、好感される施設として、自治体のニーズに応えていくような形での施設の開設を目指したいですね。
株式会社 ありがとう
所在地 〒570-0055 大阪府守口市春日町4-12